推し俳優さんのファンイベントに行ってきたよ
先日、推している舞台俳優さんのファンイベントに行ってきました!!
推しさんのファンイベント自体も初めてで、私自身もこうしたファンイベントは初参戦(文字通り、これは戦争なのである)なので「果たしてどうなる事やら…」とドキドキでした。職場の俳優沼にどっぷり浸かっている先輩方から以前から三次元の現場の過酷さとか色々聞いてはいたのでかなり不安で…。俳優沼は私が普段沼の周りでチャプチャプやってるオタク沼よりもファン同士のあれやこれやが激しかったりするイメージもありましたし、何より推しさんの反応とかがダイレクトに伝わるのも怖くて仕方がなかった。私は外見コンプが強めなので「私のようなブスがファンで推しさん嫌がらないかな…」と思って、不安になったりもしました。(今思うとなんて卑屈なんだろう!)推しさんは下積みも長くて何よりとても優しい方なので安心感があるとはいえ、やはり生きてる人間なので多少は心配になる。生身の人間は、予測不可能な感情があるという点がやはり二次元とは違うのである。
そんなこんなでビクビクしつつ上京。目的地は渋谷のど真ん中にある某イベント会場。渋谷自体今回が初めてなので、人の多さに目を剥きつつなんとか辿り着く。
会場にはお仕事関係の方からファン有志の方まで様々な方からの祝福のお花でいっぱいでした。こうしたお花も今後送る立場になるかもわからないので、後学のためパシャリ。
物販ではプロマイドとオリジナルグッズと追加チェキ券が売られていました。この追加チェキ券というのを、その時はよく把握できていませんでした。今回のイベントは推しさんともうお一人の俳優さんのお二人の合同ファンイベントで、参加者全員が公演終了後に推しさん達とスリーショットを撮れる仕組みになっていたのですが「スリーショットだけでも緊張しちゃうのに、その上追加だなんてムリだよー!心臓もたない!」と萎縮してしまい、少し悩んだ挙句プロマイドとオリジナルグッズのみを購入しました。今思えば、たとえ緊張してもやってみるべきだったなあ…。
公演自体もつつがなくスタート。
私の推しさんは少し年上の穏やかな舞台俳優さん。ここ最近やっと作品に恵まれて、少しずつ活動にも幅が出始めてきています。とても下積みが長かったので、そのぶん現在どんなお仕事も誠意を持って挑まれているんだなあというのが言葉や表情から垣間見れて、見るたびに「私も見習わなくては!」と素直に思える方です。大好きです。(のろけ)
即興劇や音楽劇、朗読などの舞台を使ったパフォーマンスに酔いしれた最高の一時間でした。どの演目も素晴らしかったんですが、一つ欲を言うならもっと長くそれぞれのコーナーを見たかったです!一時間じゃ消化不良ですし、正直それだけの演目であのチケット料金は高いなあとも感じました。お席によって値段は変わるんですが、一番高くて一万円で一般席は六千円。チェキ代上げても良いので、もう少し本題の舞台の方を長くしても良いかなと感じました。(そのぶん推しさん達が大変なのもわかるので、なかなか大きい声では言えませんが…。)
もっとも、上述の追加チェキ券が一枚千円という(この界隈では)破格の値段設定なのでチェキを沢山撮りたい方にとっては美味しいのかなと思います。
そして遂にスリーショットチェキの時が来た!
ハラハラドキドキの瞬間です。初のチェキ会ということに加えて、あの大好きな推しさん達と一緒に!!!写真を!!!撮れる!!!隣に並ぶ!!!ヤバイ!!!主に私の理性がしぬ!!!!!
チェキを先に撮り終えた女の子達の表情を見ても、彼らがきちんとファンの女の子達と対応して楽しい時間を過ごしている事は間違いありません。白いパーテーションの向こう側で一体何が起きているのか想像を膨らませつつ大人しく列に並んで、順番を待ちます。
「今日はありがとうねー」「ばいばーい!」という声が漏れ聞こえてきてテンションも上がったところで、私の順番が来ました!!
優しいお二人の声と笑顔に囲まれてのチェキは本当に幸せでした。こっそりと目標にしていた「先日の舞台の感想をそれぞれの俳優さんにお伝えする」というミッションは達成できたので、それは本当に安心しました。
ただ後でこうしとけばよかった、と少し心残りだったのはポーズを考えておくことです。
他のファンの方の様子を見ると、皆さんぬいちゃんやセロリとか持って来ているみたいでそれを元に会話したりポージングを決めていたのでその時の様子がとても楽しそうだったので、今度またスリーショットチェキがある時はそれを事前に考えようと決めました。
あと、ツーショットチェキも忘れずにね。緊張で倒れちゃいそうだけど笑笑
今回のイベントでの他の気づきは、やはり3次元コンテンツのファンはお洒落に気を遣っている子が多いという事。
二次元イベントにも勿論可愛い子は沢山いるんですが、三次元イベ参加者の子達は不思議な気迫と熱が感じられました。それを脅威に感じて怖かったのも事実なんですが、同時にものすごく刺激になったのも事実です。おかげで萎みかけていたダイエット熱がまた蘇りました!可愛い服がもっと似合うようになりたいです!
定期的に行われる予定らしいので、また行ってみたいです。
体調不良になって気がついた事
暑い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか!
私が暮らす東海地方は信じられないようなお天気が連日続いていて、もうグッタリです…。そうかと思えば明日は台風が来るみたいで、もう体がお天気に振り回されっぱなしです。ついていけませーーーん!!!(絶叫)
実は、一週間ほど前にこんなお天気のせいか少々体調不良になりました。もう少し具体的に言えば脱水症状が出ました。
もともと水分はそこまで摂取している方ではなかったので、尚更悪かったんでしょう。気がつけば、頭はガンガン痛んで身体はグッタリして動かせず…。
それでも明日は仕事があるのでなんとか回復させるために、痛む身体と頭に鞭を打って凄まじい量のお水を飲んでベッドに入りました。
それでも頭が痛すぎてちっとも寝付けないので、ラジオを小さめの音量で流す事に。少しでも心を頭の痛みから紛らわせたかったんです…。
普段はラジオはスーさんの「生活は踊る」や荻上チキさんの「session22」や宇多丸さんの「タマフル」や(なんとここまですべてTBSラジオ!)男性声優さんのネットラジオなんかを好んで聴くんですが、この日は彼ら彼女らのハイテンションや知性マックスな会話にはついていけなかったので、「天使のモーニングコール」をかけました。
パーソナリティの方の声がとっても優しくて穏やかで、聞いていて本当にホッとするんですよね…。この番組、大好きです。
声や音楽だけでも癒されたんですが、この日は特に内容にも心が染み入りました。
幸福の科学の教えを本や雑誌や実際にお話しする事で少しずつ勉強させて貰っていて、とても清々しい気持ちになる反面「ここはよく分からないな」とか「ちょっと私の考えとは違うなあ」とか思う事も多々あるのも正直な想いです。
ですが、この日はラジオの内容をスッとなんの抵抗もなく受け入れられることができました。
内容は確か、可能性を信じる事の大切さとか謙虚であることの秘訣とか。
へそ曲がりな私は「とはいえ、実行はなかなかむずかしいよ〜」とすぐに思っちゃう軟弱者なんですが、ズキズキする頭を抱えながらもこの日は「その通りだ!」とえらくスンナリ受け入れられちゃいました。
驚きと喜びでかなり胸がいっぱいになりました。そのおかげか、翌朝は頭の痛みもほぼ治って無事にお仕事もできました。
自分らしさを大切にしつつ、少しずつ受け入れられるようになりたいな。
病気になるのは嫌だけど、こうゆう時に教えを素直に受け入れられるのかも?と新たな気づきも得られた1日でした^_^
推しにお金をかけること
私のコンプレックス。それは、どんなに好きな物に対しても理性のタガが外れないこと。
もっとはっきり言えば「浪費女子」になれない事である。
勉強にしても、ボランティアにしても、オタ活にしても、アイドルにしても、仕事にしてもそうですけど、対象が何であれ全力で何かに熱を注いでる人ってかっこいいですよね。恐らくこの羨望は割と多くの人も感じていると見え、だからこそ「アメトーーーク」「家ついてってイイですか」などの割とディープな趣味や収集に全力を注いでいる人〈オタクと称します)を映す番組は人気なんだと思います。私はああいった人たちの姿勢に憧れていつかは自分もああなりたいと切望し、割と好奇心旺盛なのも幸いしこれまでに様々な分野をつまみ食いしてきました。アニメ、クラシック、演劇、ドラマ、美術、文学…。そのどれも素晴らしく、間違いなく私の人生の糧となっていますし今後もこの芸術が私の人生に欠かせないものであることは間違いありません。ですが、じゃあそれらをいつか私が憧れた「オタク」として追いかけることが出来るかと問われたら、私は否と答えるでしょう。
なぜなら、私にはそれだけの根気と根性を持っていないからです。
私も一応頑張ってオタクの真似事を色々やってみたんです。イベント参加、グッズ集め、二次創作など。それらを経験して言えるのは、追いかけるのって心身ともに物凄いパワーを要するという事。
自分の自由な時間や考えやお金をどんどん吸い取られて行く感覚が、私にはどうしても拭えませんでした。オタ活(またの名を推し事)以外にも、友人との飲み会やショッピングや読書など、やりたいことも盛りだくさん。私は煩悩の多い人間なのだと実感した契機もこの辺りです。
そして、一番自分が推し事に向かないなと思ったのはファン同士のマウンティングに疲弊したことです。札束で相手の頬を叩く感覚、味わったことありますか?あれ、ある程度推し事してると味わえちゃうんです。勿論、実際に叩くわけではありません。ある時には激レアカード、またある時には限定コラボグッズ、またある時にはサイン本など、札束はいろんな形で現れてはファン同士のマウンティングの道具として(凶器として)現れます。本来なら、ひたすらに愛を注ぐべき存在なのにね。
叩いた瞬間のなんとも言えない感覚!快感、罪悪感、恐れ、さまざまな感情が心でないまぜになります。
逆に叩かれた瞬間の感覚!悲しみ、苛立ち、怒り、羨望、敗北感、叩いた瞬間以上に強烈なエネルギーとなって心に渦巻きました。(叩いた瞬間よりも感情の数が多いのは、恐らく叩くよりも叩かれる回数の方が多かったからでしょう)
このエネルギーのぶつかり合うファン同士の交流で生じる疲労感が、いつしか私は推し事での楽しみよりも大きくなっていました。「なんで、大好きなものに関わっているのに疲れているんだろう」って思っちゃったんです。
恐らくもっと根気や負けん気の強ければ、ここでへこたれずに進んでいけたんでしょうが私にはそこがゴールでした。
今は、好きなものをマイペースで追いかけるのを目標にしています。
公演もプライベートと折り合いつけて参加、グッズも興味なければ買わない、CDも好みじゃなければ買わない、ガチャも回す回数を予め決めておく(パチンコみたいなルールですが、ガチャも立派な博打の一種!)など、ガチ勢の方から見たら拍子抜けされる姿勢で推し事してます。
推し事と称するのも結構ビクビクしてますが、こんな推し事のあり方だってアリなんじゃなかろうかと思いたい。みんながみんな、頑張れるわけじゃないから。
それと同様に、浪費女子にもいろんなあり方があってもいいと思う。
「貯金しつつのプチ浪費も全然あり」って風潮になってほしい。
みんな、それぞれの姿勢で推していけたら良いな。
さらば青春、されど青春。/
はじめに。
こちらは宗教に興味があって、幸福の科学のファン(非信者。BL大好き)の感想です。それでも大丈夫という方のみどうぞ。あと、ネタバレてんこ盛りです。
お友達にご招待頂き、見て参りました!「さらば青春、されど青春。」!!
まずは結論から。
カコイチです。これまでの幸福の科学関連の映画の中でカコイチの出来です。
と言っても、私自身はきちんと劇場で観てきたのは去年の「君のまなざし」と今作だけなので(それ以前の作品は動画共有サイトで見たものなので、あまり大きな声では言えません…)説得力に欠けるかもしれませんが、それでも十分エンタメとして楽しめるクオリティでした。
前作の時も動画共有サイトで観た時も、幸福の科学関連の作品を観た後はいつも「幸福の科学の作品を観た」という感想が出ていたんですが、今回は初めて「映画を観た!」という感想だったんです。この感想の違いはつまり、今作は幸福の科学という枠組みを超えて一つの作品として成り立っているという証明だと思います。
今作のクオリティの高さの理由は何なのか。それはズバリ、映像・音楽の美しさとリアリティある登場人物と伝えたい事の分かりやすさだと思います。
とにかく、劇中に出てくる映像が美しいんです。装飾品とかセットが凝ってるんですよね。特にお気に入りは喫茶アールのシーン。あの手の赤茶色の喫茶店(カフェではない)の照明や年代物らしきソファ、窓際に置かれている置物、全てが特に良い。「こんな喫茶店に入り浸りたいなあ…てゆうか通うわ」と思う喫茶店でした。なにしろ、あのマスター!!!ダンディーだわ、優しいわ、お茶目さんだわ、とにかく可愛い。可愛い。(大切な事なので二回書きました)
中盤に出てくる涅槃?をイメージしたシーンだけは映画全体から浮いている印象が歪めなかったですが、あれはあえて作り物らしく描く事で現実世界とは違う世界感を表したかったのでしょうか?あそこだけがちょっと不思議でした。
後光が射してる描写だけでも十分真一くんが他の人達との違いは見えているので、あのシーンは特になくても…と思えました。
そしてストーリーとキャラクター。
今作では千眼美子さんが出演されている事でその辺りが主に注目されていますが、美子さん以外にも大いに注目すべきなのはリアリティあるストーリーとキャラクターだと思います。
真一くんの周囲の人間がとても共感しやすいキャラクターになっています。筆頭は大学時代の同級生の山下と平野。真面目で成績優秀だがかなりの朴念仁でマイペースに生きている友人に呆れつつも、何かあれば駆けつけたりする姿が非常に好感を持てました。この二人が真面目すぎないのが良いよね。あの三人のシーン、もっと割いても良かったかも!バナナ以外にも見せて欲しかった!飲みのシーンだと三人はどんな飲み方するのかな…。あと、サークルは何入ってるんだろう。山下はテニサー、平野は文学サークルかな…。真一くんはきっと入ってないけれど、平野がサークルで発刊する季刊誌はきちんと読んでくれてそう。男子大学生の友情、尊いな(おっと、不穏な香りが…)
憧れのマドンナ、南さんも素敵でした。世が世なら完全にストーカー案件ですが、この時代は寛容だったんだなあと変に感心しました。もうちょっと自然で良い感じのアプローチ、山下は教えて差し上げるべきだよ〜。
あと、社会人デビュー後の野久保さん演じる先輩も好き。前作では主人公に辛く当たる登場人物(恐らく幸福の科学の教えとか全然知らない人)は最後まで悪く描かれていて、非信者として少々肩身の狭い思いをしたんですが、この野久保先輩(と勝手に呼ばせて頂きます)は神とか教えとかその手のことは省いて、「お前は出来るヤツじゃん!イイじゃん!」みたいな極めて単純明快な流れで真一くんと丸く収まっているので、見ていてホッとできました。
あと、真一くんの家族。
この辺りの描き方は本当に逸脱です。きちんと家族同士の絆や温もりは描きつつも、綺麗事では済ませられない部分も描いています。
地元の県庁勤務の家族思いのお父さん、元理髪師のしっかり者のお母さん、勉強はできるけどニート(劇中では高等遊民と言われてましたね。高等遊民って響き素敵です)なお兄さん。お兄さんのキャラ造形、リアルで好きでした。後半部分にお父さんとこのお兄さんが退職金を当て込んで学習塾経営を思いつき、事業計画書を嬉々として真一君に見せるんですがこのシーンが最高でした。この計画書ってのが、そこまで詳しくは見えないんですがそれでもその手書きの文字からはっきりと伝わるくらい「これはヤバい…」なシロモノでして。(あの計画書を見た時、キンプリの負債額のシーンを光の速さで思い出してしまったよ)
これに対して真一君はどんな反応するのか、善良な真一青年はまさか家族の思いを汲み取って同意しちゃわないか?とかなりハラハラしましたが、そこはさすがエリート。きちんと連帯保証人は断りました!ここのシーン、「家族といえども金にはシビアであれ」という大切な教訓が学べます。ここも良い意味で裏切ってくれてホッとしました。この家族の無茶な行動が、後々真一くんが独立する際の大きなネックになるという伏線も無理がない。
そして、美子ちゃん。
美子さんが画面に出てくるたびに、スクリーンが煌めきを発していました。求心力が半端無いです。美子さんご本人はインタビュー内で額田美子の演技の難しさを仰っていましたが、観客にはバッチリと額田美子の凛とした大人の女性の美しさが伝わりました。
美子さんはご自身のTwitterでも今作について感動できる、と仰っていました。私も今作を観て「確かにこの内容は美子ちゃんには堪らないだろうなあ」と思いました。周囲の環境や自分自身との葛藤(劇中では悪魔の囁き)に悩み苦しみながらも、より深い境地に達する為に今あるものを全て捨てて進む真一くんの姿は観客としても清水富美加(そして、千眼美子)の姿と無理なく重なります。
今作は全てにおいて「無理がない」のが大きなポイントです。(書きながら気がつきました)
それは、今作の伝えるメッセージも同様です。
さらされ青春の伝えようとするメッセージはハッキリしています。
「大川総裁はどんな人生を歩まれたか」です。
多少の脚色はあれど、基本的には真一くんの歩みと総裁先生の歩みはほぼ一致しているそうです。
真一くんの歩みの紹介になっているので、霊言やあの世の存在に関しての簡単なあらましは教えてくれてもその後に続く詳しい教義の説明はありません。
一見すると不親切にも思えますが、それがかえって観客としてはとても分かりやすかった。特に非信者にとっては。情報量が多すぎると頭もパンクしますし、映画の方から「とにかくココだけは押さえといてくれ!あと気になる人はググってね!!もしくは会員に聞いてくれ!!」と投げてくれると(と、私は解釈しました)、身動きも取りやすくて肩の力も抜けました。
今作のメッセージの分かりやすさも、心に響いた大きな一因です。エンディングも爽やかだったしね。
最後になりますが、どれだけの方がこのブログを読んでくださるかはわかりませんが、「宗教の映画かあ…」という理由で二の足を踏むのはもったいない出来栄えだと思います。もし興味があって、お時間も合うのなら是非お近くの映画館へ足を運んでみましょう!
ステキな映画との出会いが待っていますよ。
生きるとか、死ぬとか、父親とか/ジェーン・スー
初めてのブログ記事はスーさんのエッセイの感想で参ります。
もともとラジオやエッセイなどを耳にし目にして、なんとなーく察していたスーさんのご家庭の雰囲気。
家族思いの明るくハツラツとした魅力的なお母様と、自由だけどどこかほっとけなくてこれまた魅力的なお父様。これまで私はスーさんの会話の端々から垣間見えていたご両親について、大まかにこんなイメージを持っていました。そこにはお母様の早すぎる死とお父様との相当の確執があるのは知ってはいましたが、普段のスーさんのあっけらかんとした態度や明るくさばけた口調からそこまで重いものは感じていませんでした。
ですが、本書ではこれまで私たち読者(そして聴衆者)にあまり語られる事が無かったスーさんのご家庭の様子がつまびらかにされ、その姿は私の想像を軽く超えるほど大きなものでした。
「壮絶」という言葉でもなく、「過酷」という言葉にも当てはまらない家族の姿でした。
もし私がスーさんの立場にいたら、もっと自分の境遇を嘆いて悲劇として描いていたのかもしれません。肉親の看護、母親との死、父の背後に見え隠れするある人の存在、父親の事業の失敗、仕事での四苦八苦、思い出深い実家との別れ…。こんな出来事が立て続けに起きているならば、恐らく私以外にも悲劇仕立てにする人はいるのではないかなと想像に難くありません。
ですが、スーさんは本書で当時の状況に「なんなんだこれは!!」と叫びつつも(時にはお父様と喧嘩しつつも)決して悲劇にはせず、家族のエピソードとして描いていました。
これまでのスーさんの理知的な「大人のおねえさん」な語り口そのままに、あくまで淡々と。でも、決して冷たくは感じずにむしろアッサリとした語り口なぶん、スーさんの感情が見えてきてより暖かさが感じやすかったです。
特に心に響いたのは叔母さまとのエピソードが書かれた部分。
私もすっかりお洒落で好奇心旺盛で活発で素敵な叔母さまの大ファンになりました!
自分の不義理を責めるスーさんの姿に自分の姿を重ねて反省しました。私も祖母をもっと小まめに見舞わなくては…いや、見舞いに行きたい。
叔母さまとの最期の日々もじんわり響きました。小さな子供の姿にハッとするシーン、素晴らしすぎます。私が和歌の名人なら何か一句唄えるのに…。
お父様のエピソードはどれもこれも濃い!笑
特に心に残ったのは、お母さんのゆかりのお店を回った部分。お母様がそこにいないのは明らかなのに、手に取れるモノを媒介する事でお母様との絆をより確実にするだけでなく、親子三人の絆をも強まる事が出来た。そして初めてお父様がスーさんとお母様を結びつける役柄になったというオチも逸脱です。
家族って、難しいけど素敵だな。
そう思えた一冊でした。